進行中の2世帯の家の模型の写真です。製作途中のことを以前にブログで書きましたが、最終的にどんな家になったのかUPしていなかったので、今日掲載します。とてもシンプルで整ったウチになったな、いい家になりそうだ、と手の平に模型をのせて、クルクルと回しながら出来上がりを楽しんでいる一枚です。でも楽しんでいるだけではなく、屋根の勾配などの家のカタチについてさらに検討を重ねて行きます。さて、今日は家のファサード(建物の正面のデザイン)について。家の顔となるファサードや、家のそのもののカタチはかっこよくしたいし、頑張りたいところですが、ウチアトリエでは、プラン(平面)やセクション(断面)の追求なしに、エレベイション(立面)を書く事はありません。住宅を設計するのに大切なのは、そこに住む方の暮らしが見えてくるようなプランです。そしてその土地の形状、近隣の状況、法的条件を鑑みたセクションを検討します。それらを何度も進んだり、戻ったりしながらスケッチを繰り返します。そしてそれらが洗練されたものになった時に初めてエレベイションを描きます。それは、その方の生活が自然と家のカタチとして表れるものであり、それが結果的に穏やかな家の表情となるのだと思っています。建築家が意図的に作るデザインはこれからの時間の流れの中で、耐えられないカタチとなって取り残されてしまうのではないかと私は考えます。本屋で建築家「前川國男」の分厚い写真集を見ていると、前川國男の建築家としての生涯が文章で少し書かれていました。その中に、前川國男も必ずプランから始まり、矩計詳細の裏付けまでして、はじめてエレベイションを書いたという事が書かれていました。やっぱりそうなんだと改めて実感。建築家の大大大先輩に、建築家としての生き方に勇気をもらった気持ちになりました。高価な本ですが思わず買ってしまいました。
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