M 花水木の家

2009年10月1日

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「花水木の家」

この敷地は都内の閑静な住宅街にあり、袋小路状の私道の一番奥に位置しています。形状はほぼ整形で実質30坪ほどの広さ。3方(西側以外)はかなり近接して民家が建っている、都内ではごく一般的に見られる条件の敷地です。住み手のご夫婦は共働きで休日は家にいることも多く、個室よりも居間などを充実させたいとのことでした。奥さんは料理やフラワーアレンジメントなど多趣味な方で、ハーブや植物を育てることのできるスペースを作りました。また、将来を考慮し(脚腰が弱った場合など)主な生活空間(居間・食堂)は接地性の良い1階にするように強く希望されました。
そこで、次の3点が大きな課題になりました。1.限りある敷地を最大限有効利用すること。2.密集する住宅地において主な生活空間となる1階に光を取り入れること。3.プライバシーを保ちながら内部と外部をいかに連続させ心地のよい住空間を確保するか。
模型やCGを用いて隣接民家の影響による季節ごとの日照条件をスタディし、敷地のポテンシャルを徹底的に検証しました。
冬至
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春分・秋分
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この結果をもとに、袋小路と連続するように庭をとり、さらにこれを取り囲むように「居間」「階段」「食堂・厨房」をL型に配置しました。基本的に1階は間仕切りのない一室空間ですが、L型に曲がっている事でそれぞれが柔らかい領域を形成しています。各々の場から花水木の植えられた外の領域に向かって敷地いっぱいに広がりを感じる事ができるようにしました。また、L型の要の位置にあたる階段部分は吹き抜けとし、かつ屋根面上部のハイサイドライトから1階の生活空間まで季節毎にコントロールされた光が届くように平面的・断面的な工夫をしました。
外は小さな庭の中に機能を集約し「アプローチ」「デッキ」「植栽」「サービス」のスペースを配置しました。それぞれの領域は内とのつながりの密度を序列化し、塀やベンチ、キッチンガーデンによって分けています。このような内から外への距離感を調整することによって、住宅密集地において開放感のある住空間が可能となしました。
(M)

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