M 目に見えないもの

2010年7月10日

最近、私の楽しみの一つがNHK朝ドラの「ゲゲゲの女房」。主人に勧められて見始めたら、まんまとはまってしまい、夜に一息ついて録画を見るのが私の日課になっています。テレビはほとんど見れないのですが、この毎日15分ずつというのが私にはちょうど良い娯楽になっています。このドラマのテーマの一つが目に見えないもの。私も子供の頃は、鬼やお化け、妖怪がいると信じていました。悪い事をすれば罰(バチ)が当たると思っていたし、天井の板の目の模様はお化けの顔に見えました。考えてみれば、昔はトイレに行くのも怖かったけど、最近の子供は怖くないらしいです。お葬式で子供がトイレに行く時に「怖くないの?」と聞くと、「怖くない」という返事がかえってきたという話しを聞きました。それは家のつくりが明るくオープン指向になっていることもあるし、家の中で冠婚葬祭が無くなった事にもよるのでしょう。生活の文化が変わり、その子にとって死というものが身近でなくなっているんですね。
ところで、昔の住宅は続き間という空間構成をとっていて、そこで日常の生活から、非日常に対応出来る間取りでした。それは図面にはあらわれない、目に見えない使われ方を許容した究極の間取りのように思います。例えば、庭(縁側)に面した明るい部屋は自然と人が集まる場となっただろうし、奥に行くに従ってだんだん暗い部屋になっていくと厳かな場となり、その家の偉い人が奥の間として陣取りをしただろうと想像します。廊下もないので、自然と出来る人の動線が、家族の主従や生活の仕方に反映されていたんだと思います。目に見えるもの、触れるものは生活する上では大切なものだけれども、このように目に見えないものも取り入れて設計することが大切なことだなと改めて思うのです。

続き間の写真です。庭から徐々に奥の間まで届く光の様子は写真ではうまく表現できません。。。。肉眼で見た時には、この部屋でどのような使われ方をしたのか想像が膨らみ、昔の人が寝転がったり歩いたりしてました。

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